住宅アドバイザー菅原の住宅ブログ
2022/03/19
長期優良住宅とは?わかりやすくご紹介します!
投稿者:菅原 智弘
皆さんは長期優良住宅とは何かご存知でしょうか。
聞いたことはあっても、詳しく知らない方は多いでしょう。
長期優良住宅は、多くのメリットがありつつも、注意しなければならない点も存在します。
そのため、今回は長期優良住宅についてわかりやすくご紹介します。
ぜひお役立てください。
□長期優良住宅とその認定条件についてご紹介!
長期優良住宅とは、国土交通省から長持ちする住まいと認められた建物です。
2009年に施行された法律で、長期優良住宅の認定基準がいくつかあります。
今回は、9つの長期優良住宅の認定基準をご紹介します。
1つ目は、劣化対策です。
構造躯体の耐久性は、100年程度です。
もちろん劣化しやすい外壁や内壁などは、途中でリフォームすることが前提です。
例えば、鉄筋コンクリートでは、セメントを濃くし、コンクリートのかぶりを厚くします。
木造では、屋根裏や床下に点検口を設け、床下の高さを330ミリメートル以上にします。
2つ目は、耐震性です。
大きな地震があっても、損傷が少ないことが大切です。
構造に影響がなく、補修すれば暮らせるような強い住まいが求められます。
建築基準法で想定されている1.25倍の地震が起こっても、壊れることはないでしょう。
3つ目は、メンテナンスのしやすさです。
構造躯体は長持ちしますが、設備や内装は10〜20年ほどで劣化しますよね。
劣化した場合に簡単にメンテナンスができるのかが重要な基準になっています。
どれほど将来を想定して設計されているかが住まいの重要なポイントと言えるでしょう。
4つ目は、リフォームのしやすさです。
子供が独立したり、同居することになったりすると、ライフスタイルが変わりますよね。
そこで、リフォームのしやすさが重要になります。
5つ目は、バリアフリー対策です。
将来のバリアフリーリフォームに対応できるように現時点で計画しておくことも大切です。
廊下や出入り口の幅を車椅子が通りやすいように広めに設けると良いでしょう。
6つ目は、省エネです。
気密性や断熱性など、省エネルギー対策がなされているかが重要です。
暮らし心地や家計に直結するため、長期優良住宅じゃなくても取り入れてみてください。
7つ目は、居住環境です。
過ごしやすい街づくりがなされているかも大切です。
住まいが素敵でも、街灯の少ない帰り道だったり、家の前をトラックが通っていたりすると、暮らし心地は良くないですよね。
8つ目は、居戸面積です。
2人暮らしの世帯の場合、ある程度の広さが必要です。
一戸建ては75平米以上という基準がありますが、地域の状況によって引き上げられたり、引き下げたりもします。
9つ目は、維持保全計画です。
屋上の防水、給排水などの点検時期と補修内容を、あらかじめ計画する必要があります。
少なくとも10年ごとに点検を行いましょう。
□長期優良住宅のメリットとデメリットをご紹介!
まずは、長期優良住宅のメリットを5つご紹介します。
1つ目は、快適で安心できる家に、世代を超えて住み継げることです。
例えば、耐震性を高めることで、大きな地震でも家の損傷が抑えやすくなります。
また、住み続けるための改修も容易に行えます。
省エネ性を高めることで断熱性が高まり、エアコンなど空調機器の効きが良くなります。
そうすると、少ないエネルギーで夏は涼しく・冬は暖かく過ごせる家になります。
2つ目は、減税が受けられることです。
長期優良住宅に認定されると、多種多様な税の特例措置が受けられます。
いずれも期間が定められた措置です。
そのため、利用を検討する際には期限を必ず確認してください。
3つ目は、住宅ローン金利が引き下げられることです。
長期優良住宅を建て、認定されることで、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携した住宅ローン「フラット35」の、「フラット35」Sを利用できます。
「フラット35」Sは、「フラット35」の借入金利を当初10年間、0.25%引き下げられるため、借り入れ当初の返済負担を軽減できます。
4つ目は、地震保険料の割引きがあることです。
長期優良住宅の認定を受け、所定の書類を保険会社に提出すると、地震保険料の割引きが受けられます。
例えば、耐震等級2の場合は30%、耐震等級3の場合は50%の割引率が適用できます。
免震建築物でも50%の割引きが受けられます。
5つ目は、補助金制度を利用できることです。
「地域型住宅グリーン化事業」は、性能に優れた木造住宅を新築・購入すると補助金が交付され、認定を受けることで利用できる制度です。
補助額の上限は110万円です。
制度の利用には、地域材を利用することや国土交通省から採択された中小工務店が建てることなどの要件があります。
ここまで長期優良住宅のメリットについてご紹介しました。
ここからは長期優良住宅のデメリットを3つご紹介します。
1つ目は、申請に費用がかかることです。
長期優良住宅制度を申請する際に複数の添付書類や認定申請書が必要です。
このため、書類の作成や代行申請に別途費用がかかってしまいます。
申請費用の目安は、設計図書類の作成が20万円程度、技術審査や認定のための手数料が5、6万円程度です。
2つ目は、建築コストが割高になることです。
優れた住宅性能を求めると、住宅設備や構造部材はグレードが高いものを選ばなければいけません。
そのため、価格が高いため、一般的な住宅と比べると建築コストは割高になります。
しかし、長く住める家になるため、性能に不満や不安を感じながら住むより良いでしょう。
3つ目は、メンテナンス履歴の作成・保存が必要なことです。
長期優良住宅制度の認定を受けるには、申請時に維持保全計画を立てる必要があります。
そして、建築後はその計画を適切に実施する必要があります。
さらに、大きな地震や台風の後には臨時点検の実施も定められています。
実施記録は所轄行政庁に提出する義務はなく、求められた際に報告すれば問題ありません。
しかし、適切に実施していないと判断されてしまうと、認定が取り消される可能性もあります。
□長期優良住宅の申請方法をご紹介!
今回は長期優良住宅の申請方法を簡単にご紹介します。
まず、施工業者や施主などの申請者が登録住宅性能評価機関に技術的審査を依頼します。
次に、適合証の交付を受けた後、行政官庁に認定申請を行います。
その後、申請者が行政官庁に認定申請を行います。
行政官庁から登録住宅性能評価機関に技術的審査を依頼する方法もあります。
しかし、認定審査にかかる期間が長くなるケースが多いでしょう。
申請者が登録住宅性能評価機関に技術的審査を依頼する場合は、まずはスムーズに審査を進めるために事前相談を行うことが必要です。
次に、施工業者に長期優良住宅の認定申請に関わる設計図書を依頼します。
そして、申請書類を作成した後、登録住宅性能評価機関に技術的審査を依頼します。
審査では質疑問合わせがあった場合には質疑回答をします。
登録住宅性能評価機関から認定証の交付を受けた後、行政官庁へ認定申請を行います。
□まとめ
今回は、長期優良住宅について詳しくご紹介しました。
長期優良住宅は、減税や住宅ローン金利の引き下げなどの優遇を受けられるだけでなく、長く住める家にもなります。
家づくりをお考えの方は本稿を参考にしていただけると幸いです。
住宅に関して何かお困りのことがありましたら当社にご相談ください。